墓じまい=離檀、とは限らない
墓じまいというと、「お寺との関係を終えて、ご遺骨を別の場所に移す」とイメージする方が多いかもしれません。
しかし、今のお墓を片付けて、同じお寺の境内にある永代供養墓にご遺骨を移すという選択肢もあります。
- 長年お世話になったお寺とのご縁を大切にしたい
- 先祖代々眠ってきた場所から、ご遺骨を離したくない
- 離檀の話し合いに不安がある
このような方には、とても合った方法です。
永代供養墓とは
永代供養墓(えいたいくようぼ)とは、お墓を継ぐ人がいなくても、お寺や霊園が代わりに供養と管理を続けてくれるお墓です。
一般的なお墓のように、家族が代々受け継いで管理する必要がありません。お墓の掃除や管理費の負担を心配せずに済むため、墓じまいの移し先として選ぶ方が増えています。
境内の永代供養墓の種類

お寺の永代供養墓には、いくつかの種類があります。
1. 合祀墓(ごうしぼ)
ほかの方のご遺骨と一緒に、一つの場所に納めるお墓です。
- 費用の目安:5万〜30万円程度
- 特徴:費用がいちばん安い
- 注意点:一度納めると、ご遺骨を取り出すことはできません
2. 集合墓
一つの大きなお墓の中に、骨壺ごとに分けて納めるお墓です。一定期間(十三回忌、三十三回忌など)が過ぎると、合祀されることが多いです。
- 費用の目安:20万〜60万円程度
- 特徴:一定期間は個別に供養される
3. 個別墓
一般的なお墓のように、個別の区画や小さな墓石があるお墓です。こちらも一定期間後に合祀されることが多いです。
- 費用の目安:50万〜150万円程度
- 特徴:家族単位で納められる、お参りしやすい
4. 納骨堂
お寺の建物の中に、ロッカー型や仏壇型の納骨スペースがあるタイプです。
- 費用の目安:20万〜100万円程度
- 特徴:天候に関係なくお参りできる
5. 樹木葬
境内の木や花のまわりにご遺骨を納めるタイプです。
- 費用の目安:20万〜80万円程度
- 特徴:自然に還るイメージ、明るい雰囲気
※費用は、ご遺骨の人数や地域、お寺によって大きく異なります。

同じお寺で永代供養にするメリット
1. ご先祖とのご縁を守れる
先祖代々眠ってきたお寺で、これからも供養を続けてもらえます。「ご先祖に申し訳ない」という気持ちの負担が軽くなります。
2. お寺との話し合いがスムーズ
お寺から見ると、ご縁が続くことになります。離檀して別の場所に移す場合に比べて、理解を得やすく、トラブルになりにくいのが大きなメリットです。
3. 離檀料がかからない場合がある
檀家を続ける、または永代供養をお願いする形になるため、離檀料が不要になることがあります(お寺の考え方によります)。
4. 手続きがシンプルになることも
同じお寺の境内での移動なので、ご遺骨の運搬などの手間が少なくなります。
なお、同じ墓地内での移動でも、改葬許可が必要かどうかは自治体や状況によって異なります。事前に確認しておきましょう。
5. 慣れた場所でお参りできる
これまでと同じ場所にお参りに行けるので、家族や親族も安心できます。
注意したいこと(デメリット)
1. お寺が遠方の場合は、お参りしにくいまま
墓じまいの理由が「お墓が遠くてお参りできない」という場合、同じお寺に残しても、その問題は解決しません。
2. 檀家を続けることを求められる場合がある
お寺によっては、永代供養墓に納める条件として、檀家を続けることを求められることがあります。その場合、護持会費などの負担が続くこともあります。
3. 合祀されると取り出せない
合祀墓や、一定期間後に合祀されるタイプでは、一度合祀されるとご遺骨を取り出すことはできません。将来、家族が「別の場所に移したい」と思っても、対応できなくなります。
4. お寺の将来も考えておく
後継者がいないなど、お寺自体の運営が難しくなるケースもあります。お寺の状況についても、可能な範囲で確認しておくと安心です。
離檀して別の場所に移す場合との比較
| 比較項目 | 同じお寺の永代供養墓 | 離檀して別の場所へ |
|---|---|---|
| お寺とのご縁 | 続く | 終わる |
| お寺との話し合い | スムーズになりやすい | 時間がかかることも |
| 離檀料 | 不要な場合がある | 必要な場合が多い |
| お参りのしやすさ | これまでと同じ | 自宅の近くなどを選べる |
| 護持会費など | 続く場合がある | なくなる |
| 葬儀・法要の頼み先 | これまでどおり | 新たに探す必要がある |
どちらがよいかは、ご家族の状況によって変わります。お参りのしやすさとお寺とのご縁、どちらを大切にしたいかを軸に考えると、決めやすくなります。
お寺に相談するときのポイント
確認しておきたいこと
- 境内に永代供養墓があるか、どんな種類があるか
- 費用はいくらか(1名ごとか、家族単位か)
- ご遺骨が複数ある場合の費用
- 個別に安置される期間と、合祀される時期
- 檀家を続ける必要があるか
- 年間の管理費や護持会費はかかるか
- 法要(年忌法要など)はどうなるか
- 今のお墓の撤去は、どの石材店にお願いするか
相談するときの伝え方の例
「お墓を継ぐ者がおらず、墓じまいを考えております。ただ、長年お世話になったこちらのお寺で、これからも先祖を供養していただけたらと思っております。境内の永代供養墓について、詳しく教えていただけないでしょうか」
お寺とのご縁を大切にしたい気持ちを伝えると、ご住職も相談に乗りやすくなります。
よくある質問
Q. 境内に永代供養墓がない場合は?
同じ宗派のお寺や、ご住職が紹介してくださるお寺の永代供養墓を検討する方法もあります。まずはご住職に相談してみましょう。
Q. 一部のご遺骨だけを残すことはできる?
分骨(ご遺骨を分けること)をして、一部を菩提寺の永代供養墓に、一部を自宅の近くに納めるという方法もあります。すでに納骨されているご遺骨の一部を別の墓地や納骨堂に納める場合は、現在の墓地の管理者に分骨証明書の発行を依頼し、納骨先の管理者に提出します。
Q. 永代供養墓に移したあと、別の場所に移すことはできる?
合祀される前であれば、改葬の手続きをして移せる場合があります。合祀されたあとは、取り出すことはできません。
まとめ
墓じまいをしても、菩提寺とのご縁を残す方法があります。
- 境内の永代供養墓には、合祀墓、集合墓、個別墓、納骨堂、樹木葬などがある
- お寺との話し合いがスムーズになりやすく、離檀料がかからない場合も
- 合祀されると取り出せない点、檀家を続ける必要があるかは要確認
- 「お参りのしやすさ」と「お寺とのご縁」のどちらを大切にするかで考える
不明な点等については、ぜひ専門家にお尋ねください。
墓じまいについて相談できる業者を探す
墓じまいは、お墓の状況やご家族の事情によって進め方が変わります。分からないことがあれば、墓じまいに詳しい業者や石材店に相談してみるとよいでしょう。


