離檀料トラブルは珍しくない
墓じまいの増加とともに、お寺との間で離檀料をめぐるトラブルも増えています。消費生活センターなどにも、墓じまいや離檀料に関する相談が寄せられています。
ただし、多くのお寺は、きちんと相談すれば理解してくださいます。トラブルの多くは、伝え方の行き違いや、事前の話し合い不足から起こっています。
この記事では、トラブルになってしまったときの対処法と、トラブルを防ぐための準備を解説します。
よくあるトラブルの例
1. 相場を大きく超える離檀料を請求された
離檀料の相場は無料〜20万円程度ですが、数十万円から、なかには数百万円を請求されたというケースもあります。
2. 埋蔵証明書を出してもらえない
原則として墓地の管理者による証明が必要です。証明を得られない場合は、代わりの書類が認められるか、お墓のある市区町村に相談してください。
3. 墓じまいそのものに反対された
「先祖のお墓をなくすなんて」と、墓じまいを思いとどまるよう強く説得されるケースです。
4. 指定の石材店以外での工事を認めてもらえない
お寺によっては、工事をする石材店が決められている(指定石材店制度)ことがあります。費用が高くても、他の石材店を選べないことがあります。
5. 未納の費用をまとめて請求された
何年分もの護持会費や管理費を、まとめて請求されるケースです。
トラブルになったときの対処法
ステップ1:まずは冷静に、理由を聞く
高額な請求をされても、その場で感情的に反論するのは避けましょう。まずは、金額の内訳や理由をていねいに尋ねることが大切です。
「申し訳ありません、不勉強なもので。このお金は、どのような内容のものになるのでしょうか」
話を聞いてみると、次のような事情が含まれていることがあります。
- 何年分かの未納の護持会費
- 本堂修繕などの寄付金の未払い分
- 閉眼供養のお布施や、墓石撤去の費用
内訳が分かれば、何に対して払うのか納得しやすくなり、話し合いの余地も生まれます。
ステップ2:自分の事情を正直に伝える
経済的に難しい場合は、そのことを率直に伝えましょう。
「長年お世話になったので、できる限りのお礼はさせていただきたいと思っています。ただ、年金暮らしのため、〇万円が精一杯です。何とかご理解いただけないでしょうか」
「払いません」ではなく、「これが精一杯です」という伝え方のほうが、話し合いが進みやすくなります。
ステップ3:親族や第三者に同席してもらう
一人で話すと、どうしても押し切られてしまいがちです。
- 親族に同席してもらう
- 墓じまいの経緯を知っている人に入ってもらう
複数人で話すことで、冷静な話し合いがしやすくなります。
ステップ4:宗派の本山や宗務所に相談する
多くのお寺は、宗派(浄土宗、真言宗、曹洞宗など)に属しています。宗派には、本山や、地域ごとに置かれている宗務所・教区事務所などの窓口があります。
お寺との話し合いがまとまらない場合は、宗派の窓口に相談してみるのも一つの方法です。
ステップ5:外部の窓口に相談する
話し合いでどうしても解決しない場合は、外部の窓口に相談しましょう。
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| 消費生活センター(消費者ホットライン「188」) | 契約や金銭のトラブル全般 |
| お墓のある市区町村の担当窓口 | 改葬手続き、埋蔵証明書が出ない場合の対応 |
| 弁護士 | 法的な判断が必要な場合、代理での交渉 |
| 法テラス | 弁護士費用の立て替え制度など |
| 墓じまいの専門業者 | お寺との調整の進め方 |
埋蔵証明書を出してもらえない場合

離檀料のトラブルで特に困るのが、埋蔵証明書を出してもらえず、手続きが止まってしまうケースです。
まずは市区町村に相談する
改葬許可の申請先は、お墓のある市区町村です。墓地の管理者が証明書を出してくれない場合の扱いは、自治体によって対応が異なります。
自治体によっては、事情を説明する書類(申立書など)を添えることで、申請を受け付けてくれる場合もあります。まずは、お墓のある市区町村の担当窓口に事情を相談してみましょう。
お寺と話す際の伝え方
「離檀料については、引き続きご相談させていただきたいと思っています。ただ、手続きを進めるために、埋蔵証明書だけは先に発行していただけないでしょうか」
離檀料の話と、証明書の発行を分けて考えてもらうようにお願いするのも一つの方法です。
やってはいけないこと
| NG行動 | なぜよくないか |
|---|---|
| 感情的に反論する | 関係が悪化し、話し合いができなくなる |
| 無断で墓石を撤去する | 墓地の使用規則に違反し、別のトラブルになる |
| 許可なくご遺骨を持ち出す | 改葬許可なしの改葬は法律違反になる |
| SNSなどでお寺を批判する | 名誉毀損などのトラブルにつながる |
| 口約束だけで済ませる | あとで「言った・言わない」になる |
話し合いの内容は記録に残す
- 話し合った日時、内容、金額をメモしておく
- 請求された金額は、可能なら書面でもらう
- 電話の内容も、メモを残しておく
万が一、外部の窓口や弁護士に相談することになったとき、記録があると状況を説明しやすくなります。
トラブルを防ぐための準備
トラブルの多くは、事前の準備で防ぐことができます。
1. 早めに「相談」する
石材店や納骨先をすべて決めてから「報告」すると、お寺の気持ちを損ねやすくなります。考えている段階で相談することが、いちばんのトラブル予防です。
2. 感謝の気持ちを最初に伝える
最初の相談では、お金の話から入らず、これまでのお礼と墓じまいを考えた理由を伝えましょう。
3. 墓地の使用規則や契約内容を確認する
お墓を建てたときの書類や、墓地の使用規則に、離檀や区画の返還について書かれていることがあります。事前に確認しておきましょう。
4. 親族の意見をまとめておく
親族の意見がバラバラだと、お寺も対応に困ってしまいます。
5. お寺の永代供養墓も選択肢に入れる
お寺の境内にある永代供養墓にご遺骨を移せば、お寺との関係を保ったまま墓じまいができます。お寺の理解も得やすくなります。
よくある質問
Q. 離檀料の請求に、法的な根拠はある?
離檀料は、法律で支払いが義務づけられたものではありません。ただし、墓地の使用規則などに定めがある場合は、その内容を確認する必要があります。法的な判断が必要な場合は、弁護士に相談しましょう。
Q. お寺と話すのが怖い。代わりに話してもらえる?
親族に代わりに話してもらうことはできます。交渉の代理を依頼したい場合は、弁護士に相談できます。認定司法書士が対応できる場合もあります。墓じまいの専門業者に、話し合いの進め方を相談するのも一つの方法です。
Q. トラブルになったら、墓じまいはできない?
時間がかかることはあっても、墓じまいができなくなるわけではありません。焦らず、一つずつ対処していきましょう。
まとめ
離檀料トラブルは、冷静に話し合うことと事前の準備で、多くの場合は防いだり解決したりできます。
- 高額な請求をされたら、まず内訳と理由を尋ねる
- 「払わない」ではなく「これが精一杯」と伝える
- 話し合いがまとまらなければ、宗派の窓口や消費生活センターへ
- 埋蔵証明書が出ない場合は、お墓のある市区町村に相談
- 話し合いの内容は記録に残す
一人で抱え込まず、早めに相談することが解決への近道です。お寺とのやりとりでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
墓じまいについて相談できる業者を探す
墓じまいは、お墓の状況やご家族の事情によって進め方が変わります。分からないことがあれば、墓じまいに詳しい業者や石材店に相談してみるとよいでしょう。


