閉眼供養とは
閉眼供養(へいがんくよう)とは、お墓に宿っているとされる魂を抜くための法要です。「魂抜き」「お性根抜き(おしょうねぬき)」「御霊抜き(みたまぬき)」と呼ばれることもあります。
仏教では、お墓を建てたときに「開眼供養(魂入れ)」を行い、墓石をただの石から礼拝の対象にします。墓じまいでは、その逆の閉眼供養を行い、墓石を元の「石」に戻してから撤去するという考え方です。
閉眼供養は必ずしなければいけない?
法律上の決まりはありません。ただし、次のような理由から、多くの方が閉眼供養を行っています。
- 寺院墓地の場合、お寺から求められることがほとんど
- 石材店が「閉眼供養が済んでいないお墓は撤去しない」としている場合がある
- ご先祖への区切り、ご家族の気持ちの整理として
なお、浄土真宗では「魂が宿る」という考え方をしないため、「遷仏法要(せんぶつほうよう)」などの名前で行われます。
閉眼供養の流れ
全体の流れ
- ご住職に墓じまいの相談をする
- 改葬許可証を受け取る
- 石材店の工事日を確認する
- 閉眼供養の日程をご住職と決める
- 閉眼供養を行う
- ご遺骨を取り出す
- 墓石の撤去工事
閉眼供養は、改葬許可証を受け取ったあと、墓石を撤去する前に行うのが一般的です。
当日の流れ(一般的な例)
| 時間の目安 | 内容 |
|---|---|
| 開始30分前 | 墓地に到着。お墓の掃除、お供えの準備 |
| 開始 | ご住職にごあいさつ、お布施をお渡し(終了後の場合も) |
| 約20〜30分 | 読経、焼香 |
| 終了後 | ご遺骨の取り出し(石材店が行う) |
| その後 | 会食(行う場合)、または解散 |
法要そのものは20〜30分ほどで終わることが多いです。
日程調整のコツ
石材店の工事日とセットで考える
閉眼供養のあと、同じ日にご遺骨の取り出しや撤去工事を行うことが多いです。そのため、ご住職と石材店の両方の都合を合わせる必要があります。
おすすめの順番は次のとおりです。
- 石材店に、工事が可能な日の候補をいくつか出してもらう
- その候補をもとに、ご住職のご都合を伺う
- 決まった日程を石材店に伝える
避けたほうがいい時期
- お盆、お彼岸、年末年始:お寺も石材店も忙しい
- 梅雨や冬の積雪期:屋外での工事に影響が出やすい
日柄(六曜)は気にする?
仏教では、仏滅や友引といった六曜を気にする必要はないとされています。ただ、親族の中に気にする方がいる場合は、配慮しておくと安心です。
お布施・お車代・御膳料の相場
| 項目 | 相場の目安 | どんなときに必要? |
|---|---|---|
| お布施 | 3万〜10万円程度 | 必ず |
| お車代 | 5千〜1万円程度 | ご住職に墓地まで来ていただくとき |
| 御膳料 | 5千〜1万円程度 | 会食をしない、またはご住職が会食を辞退したとき |
お布施は、普段の法要(年忌法要など)と同じくらいの金額を包むのが一般的です。迷ったときは、ご住職に「皆さま、どのくらいお包みされていますか」と尋ねても失礼にはあたりません。
離檀料とは別のものなので、混同しないように注意しましょう。
お布施の包み方や表書きについては、別の記事で詳しく解説しています。
服装
喪服でなくても大丈夫?
閉眼供養は、喪服ではなく落ち着いた色の平服で参加するのが一般的です。
- 男性:黒・紺・グレーなどのスーツ、または落ち着いた色のジャケットとスラックス
- 女性:黒・紺・グレーなどのワンピースやスーツ
- 避けたいもの:派手な色・柄、露出の多い服、アクセサリーの付けすぎ
屋外ならではの注意点
- 墓地は足元が悪いことが多いので、歩きやすい靴を選ぶ
- 夏は日差し対策、冬は防寒対策を
- 工事の立ち会いをする場合は、汚れてもいい服装を考えておく
親族で服装をそろえておくと、当日迷わずに済みます。
持ち物チェックリスト
必ず用意するもの
- お布施(袱紗に包む)
- お車代・御膳料(必要な場合)
- 数珠
- 改葬許可証(ご遺骨の取り出し時に確認されることがある)
お供え用
- 線香、ろうそく、ライター
- 生花
- お供え物(果物、お菓子など)
- お酒やお茶(故人の好きだったもの)
掃除用
- タオル、スポンジ
- ゴミ袋
- 手桶、ひしゃく(墓地で借りられることも)
ご遺骨の取り出し用
- 骨壺を包む白い布や風呂敷
- 骨壺を運ぶための箱やバッグ
- 新しい骨壺(必要な場合)
お供え物は、法要が終わったら持ち帰るのがマナーです。カラスや動物に荒らされないよう、そのまま置いていかないようにしましょう。
ご遺骨を取り出すときの注意点
骨壺の状態に注意
長い間お墓に納められていた骨壺は、中に水がたまっていたり、ご遺骨にカビが生えていたりすることがあります。
その状態では新しい納骨先で受け入れてもらえないこともあるため、洗骨・乾燥などの処理が必要になる場合があります。事前に石材店に相談しておくと安心です。
ご遺骨の運び方
- 骨壺は割れないよう、しっかり包んで運ぶ
- 車で運ぶ場合は、座席に固定するか、足元に置いて倒れないようにする
- 電車や飛行機で運ぶことも可能(事前に交通機関に確認すると安心)
すぐに納骨できない場合
新しい納骨先への納骨まで日にちがあくときは、自宅で大切に保管します。直射日光や湿気を避け、仏壇の近くなど落ち着いた場所に置きましょう。

閉眼供養に立ち会えない場合
遠方に住んでいる、体調がすぐれないなどの理由で立ち会えない場合は、次のような方法があります。
- 親族に代理で立ち会ってもらう
- ご住職にお願いして、施主不在で法要をしていただく(お布施は事前に送る)
- 墓じまいの代行サービスを利用する(立ち会い、写真での報告など)
施主不在での法要を受けてくださるかどうかは、お寺によって考え方が違います。早めにご住職に相談しましょう。
よくある質問
Q. 閉眼供養をお願いするお寺がない場合は?
公営霊園や民営霊園で、付き合いのあるお寺がない場合は、次のような方法があります。
- 霊園の管理事務所に紹介してもらう
- 石材店に紹介してもらう
- 僧侶の手配サービスを利用する
その場合のお布施は、3万〜5万円程度が目安です。
Q. 閉眼供養と同じ日に撤去工事をしてもいい?
問題ありません。むしろ、同じ日に行うのが一般的です。ただ、ご家族が工事に立ち会うかどうかは、事前に石材店と相談しておきましょう。
Q. 墓石以外(墓誌・灯籠など)も閉眼供養が必要?
基本的には、お墓全体として一度の閉眼供養で済みます。
まとめ
閉眼供養は、墓じまいの中でご先祖に区切りをつける大切な法要です。
- 改葬許可証を受け取ったあと、墓石を撤去する前に行う
- 石材店とご住職の日程をセットで調整する
- お布施は普段の法要と同じくらい(3万〜10万円程度)
- 服装は落ち着いた平服、足元は歩きやすい靴で
準備をしっかりしておけば、当日はご先祖を思う時間に集中できます。ご不明な点などは、墓じまいの専門家にお訊ねしてみましょう。
墓じまいについて相談できる業者を探す
墓じまいは、お墓の状況やご家族の事情によって進め方が変わります。分からないことがあれば、墓じまいに詳しい業者や石材店に相談してみるとよいでしょう。


